Iditarod Trail Invitational 240km

  • 名 称:Iditarod Trail Invitational
  • 開催日:2019年2月24日〜28日
  • 場 所:アメリカ アラスカ州(氷雪地帯)
  • 距 離:240km
  • 制 限:96時間(ノンストップレース)
  • 気 温:-30〜0℃
  • 開 催:20回目
  • 参加者:9名(日本人初挑戦)
  • ルール:セルフサポート(サポートスタッフの帯同不可)
  • チェックポイント:3カ所(軽食、お湯、寝床が提供される)
  • ドロップバック:約40km毎に自分の荷物(食料や衣類)を置くことができる
  • 参加条件:160km以上の極寒レース完走
  • その他:
    ・ラン、バイク、スキーの3部門が同時開催
    ・距離240km、560km、1600kmの3種類あり
  • URL:https://www.iditarodtrailinvitational.com/

<レース結果>

  • 順 位:4位
  • 記 録:76時間47分

<装備・アイテム>



装備一式。
極地ウェア、防寒用のオーバーシューズ(靴の上から履く)、ゴーグル、燃料、クッカー、保温ボトル、アイゼン、スノーシュー、GPS、バッテリー、ソリ補修テープなど、凍傷や遭難などの非常事態に備えて準備。


食料一式、約19,000kcal。
完全食(粉末)でエネルギー以外の栄養素を摂る。厚い手袋をしたまま食事ができるよう、ペットボトルん入る小粒食品を揃える。また食欲低下時に備えて、ジェルや羊羹なども持参。粉ジュースは、完全食ドリンクの味覚を変えて飽き対策。

<レース日記>

2月24日午後2時、雲ひとつない快晴のもとレースは始まった。





-4℃という動けば汗ばむ気温の中、小さなアップダウンのある林道を進んでいく。

多くの選手たちはこのレースを何度か経験しているようだが、僕は初めてということもあり中盤で着いていくことにした。



コース上には新雪が積もっておらず、足がズボッと埋もれることはなかった。

だがそれでも進んでいるコースは、普段人が立ち入らない道。アスファルトのようにしっかりとした足取りとはまったくいかず、一歩一歩と足を沈ませながら進む。

さらにアップダウンのたびに、重さ15kgを超えるソリ(一般的な自転車ほどの重さ)に引っ張られ、足腰には大きな負担がかかってくるのだった。








そんな中で進み続けて11時間(深夜1時)。

川に到着。そこからは凍りついた川を北上していく。

すると気温が一気に下がり、露出していた肌が痛み、体が震えてくる。思わずソリに準備していた防寒ウェアを全身に装備。

そして寒さから身を守り温度計を確認すると、気温は-30℃まで下がっていたのだった。



「寒さは何とか大丈夫。でもこれが続くと辛いな。」

そんな風に思いながら進んでいく。まだ初日の夜のために眠気は我慢できるが、すでに他選手たちは見えない距離にまで離れ、暗闇の中をひとりだった。





そして2日目の午前10時25分(スタートから20時間半)、チェックポイント1(94km地点)に到着。

目標時間より早く着くことができた。

「良かった。」

とホッと一息をつき、2時間の休憩をとって眠ることなく再スタート。

次のチェックポイントまで50kmだ。そしてまた凍った川の上をひとり進んでいく。





だが、日が沈むと気持ちがガクッと落ち込むのだった。。。

眠気と疲労も徐々に辛くなってきて、特に精神がまいってきた。

19時に日が沈み、そこから夜が明ける8時までの13時間は真っ暗闇の中ひとり。

携帯電話は圏外だし、人影はもちろん、人工物などぬくもりの感じられるものはまったくない。

ただ、ライト1つで雪上に残っている前の選手の足跡を辿っていく。

もちろんずっと氷点下20~30℃の世界。





「あー、つらい。」

あと何kmなんだろう。。。コースは合っているのか。。。あと何時間耐えないといけないのか。。。

そんなことを考えだすと、どんどん辛くなっていく。もう止まりたいと弱気になってしまう。だが止まると凍えるように寒くなる。

その頃にはスタートから33時間が経過しており、幻覚もひどくなってきた。

合わせて意識も朦朧としてきたが、

「まともな意識で辛くなるなら、もうこの方がマシだ。」

そんな風にも思いながら、フラフラしながら歩いた。



そして3日目の午前3時(スタートから37時間)、チェックポイント2(144km地点)に到着。

一旦心身をリセットしようと、凍った衣類を乾かし、4時間仮眠をとることにした。

すると気持ちもずいぶん回復することができたので再出発をした。








16時間後(スタートから59時間半)にチェックポイント3(208km地点)に到着。ゴールまでは残り32km。

「足はかなりヘトヘトだが、今まで通りにいければ半日でいけるだろう。」

「最悪の場合は、外で休もう。」

そう思って、1時間だけ横になってから出発することにした。

疲労で体が言うことを聞かない。足の痛みがひどくて真っ直ぐに足を踏み出せない。ペースは大きく落ちている。

もういっぱいいっぱいの状態だったが、最後は気持ちだけで進んだ。








そして4日目の19時前(スタートから77時間前)、ついにゴールを果たした。





辛く厳しい挑戦でしたが、みなさんに応援をいただき、無事にゴールすることができました。ありがとうございます!!

寒さ、暗さ、孤独。まだまだ自分の弱さが現れてしまいます。

さらにソリを曳いて歩くということにめっぽう弱い。

ですが目標の560km、1,600kmへ挑むためにも毎日を無駄にすることなく、成長していきます。